K・Nの悲劇 (文春文庫)

K・Nの悲劇 (文春文庫)

K・Nの悲劇 (文春文庫)

「妊娠」をキーワードにいくつかのエピを幸不幸織り交ぜて組み立てる構造、またラストに向けて一気に加速するあたり、やっぱり上手いなぁと思う。ぐいぐい読まされた。しかし、子どもを堕ろすことへのあっさりした決断が主人公と「あの男」の言葉に代表され、まるで「男の思考」としてざっくりまとめられてるかんじが全体的に嫌な読み心地を生み出してる。そしてラストに至っては全然納得できないだよね。K・Nの悲劇の原因は「あの男」ではなく、父親のわからない子どもを認めない実の家族だったのではないの?そういう整合性が取れてない気がして消化不良でした。
読了日:06月21日 著者:高野 和明