ヘヴン(川上未映子)

ヘヴン

ヘヴン

川上未映子お初です。いじめられる少年といじめられる少女。密かに文通を始めた二人のあいだに生まれた感情は何だったのか。人間が他者を求める本能的な感情が濃密に描かれていてため息。気になる断片(百瀬とその彼女、百瀬と二宮の関係など)が敢えてそのままというのも、主人公の少年からの距離感としてリアル。いじめという目を背けたくなるような人間の行為が徹底的に冷酷に描かれるので後味はよくないけど、唯一主人公の近くにいる義母の力強さにほんの少しだけ安堵できるラストだった