ワン・モア(桜木紫乃)

ワン・モア

ワン・モア

0代にして余命半年を宣告された開業医の鈴音、安楽死問題で大学病院を追われて離島に飛ばされていた一匹狼の美和、二人の同級生で医者を諦め放射線技師になった八木、5年目の約束に心が揺れるベテランナースの寿美子、彼氏のDVから逃げてきたらしいもとバイトの女の子と微妙な同居生活を始めた本屋の店長・亮太。それぞれの人生と新たな転機が描かれる連作短編集。最初の美和の物語が衝撃的でいきなりぐっと心掴まれる。ところどころ演歌調なのもこれはもはや桜木節ってやつでしょう(寒い北海道が舞台だからそれもまた似合うし!)。ただ最後の全員集合のシーンはいらなかったんじゃないか、「おでん」のラストはあのままで良かったのにとそこがちょっと不満。でもどれも短編とは思えない濃度で読み応え抜群、満足度の高い短編集でした。