平成猿蟹合戦図(吉田修一)

平成猿蟹合戦図

平成猿蟹合戦図

うーん……どうなんだろうこの作品。あっという間に読めちゃうんだけど、何も残らないこの感じ……。
任侠ものっぽいストーリーではあるんだけど、そのわりに登場人物たちの熱意も関係性も薄く、あまり感情移入できない。『悪人』や『さよなら渓谷』を書いた吉田修一が今更なぜこんな勧善懲悪みたいな作品を書いたのか疑問。「スカッどする話さは毒っこ入ってらど」って最後にサワおばあちゃんの台詞にあってそれはこの物語全体に対しての言葉なんだろうけど、そうかなぁ、たいしてスカッともしないし毒もうっすいなぁ、と思ってしまった。