新年早々、罪と罰について考えてみる(1)
- 作者: 池谷孝司,真下周,佐藤秀峰
- 出版社/メーカー: 共同通信社
- 発売日: 2009/10/02
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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- 作者: 小川善照
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2009/10/16
- メディア: 単行本
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「死刑で〜」のほうはノンフィクションとして非情にレベルが高く、いろいろ考えさせられ、わたしにしては時間をかけて読んだ。「我思う〜」のほうはノベル形式なので読みやすいのは読みやすいが、あくまで補足的に読むのがいいかもしれない(あとがきで触れられている通り著者の推論も交じっていることもあり)。
十六歳で母親を殺害し、少年院を出てから数年後に無関係の姉妹を殺害、二十五歳で死刑。壮絶な人生の闇はどこまでも深い。残虐な犯行に言い訳は許されるはずもないが、過酷な生育環境、発達障害、少年犯罪における更生など、彼の人生には現代社会の隠された問題点がいくつも潜んでいることを本書は気付かせてくれる。
読むべき一冊です。
- 作者: 奥野修司
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2009/04/10
- メディア: 文庫
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今よりもずっと少年法の壁が高く、被害者家族への救済がまったくない時代。母親は二年近く寝込み発狂寸前、父親はただただ耐え、妹は反発しリストカットを繰り返した。残された家族は一切事件のことは口にせず、ただ生きるだけで、哀しみを見ない振りをすることしかできなかった。理不尽な暴力に泣き寝入りするしかなかった家族の苦しみがひしひしと伝わってくる。
が、この本がここまで注目を浴びたのは、加害者である少年Aが謝罪もないままのちに弁護士となったことを明かしたからだろう。被害者の家族は苦しみ続けているというのに、少年法で守られた加害者があろうことか弁護士。どの面下げて、とわたしでも思う。謝罪はおろか、少年Aの父親に課されたものではあるが賠償金も全額払ってないのに。
だけど、超えてはいけない一線だったのではないかと思わざるを得ない。この作品をきっかけに、少年法のもたらすあまりの理不尽がクローズアップされ世間を喚起させた功績はたしかに大きい。しかし義憤にかられた第三者によって犯人探しが始まり、結果として実名も出てしまった。弁護士という職業を明かさなければそんな騒ぎにはならなかったと思う。本書の最後で、少年Aが弁護士登録を抹消したと書かれている。たしかに、過去に犯した犯罪に比べればそのくらいどうだと思う。だけど、社会的制裁が許されるなら法律も裁判も刑務所もいらない。まっさらな視点に立てば、少年Aは裁判所の定めた通りに従って服役し、出所後に大学に入学し司法試験に受かって弁護士になったということは、法律上何の問題もないのだから。
更生とは何なのか、誰のためのものなのか。
加害者の更生や反省は、被害者家族を癒すのか否か。
うーん………と考えさせられる一冊でした。
あけましておめでとうございます。