夜想 (文春文庫)(貫井徳郎)

夜想 (文春文庫)
愛する家族を失い生きる意味も見いだせない男が、特殊な能力を持つ少女と出会い、再びその人生が動き出すーーー。


んー………。
面白くない、わけではないんですよもちろん。
失意の男が偶然の出会いから生きがいを見いだし、宗教団体ではないけどそういう団体の設立に携わっていく、そういう視点の物語は希有、というか読んだことないし。
神経のバランスを崩した人間の妄想、が小技としてうまく物語に厚みを持たせていて期待は高まる………のだけど、ラストに決めるべき大技が決まらずに判定勝ち? みたいなラスト。
どうにも消化不良な感想を持ってしまうのは、そもそも正面からぶつかったハードルが高かった上に、著者の小技の上手さがさらにラストへのハードルを上げていたからなんでしょう。


尻つぼみ感は否めなかったけど、設定や物語中盤のワクワク感は良かったです。