ファミリーポートレイト(桜庭一樹)

ファミリーポートレイト

ファミリーポートレイト

あたなとは、この世の果てまでいっしょよ。
呪いのように。
親子、だもの。

ママの名前は、マコ。
マコの娘は、コマコ。
赤朽葉家の伝説『私の男』―――集大成となる家族の肖像!

面白いは面白いのだけど、というのが最近の桜庭作品へのわたしの感想には枕詞として付いてくる。一時期はあんなにハマっていたのに熱が醒めたと言うか、いやまさに熱が醒めたというのが的確か。思い起こせば桜庭一樹の作品はそんなに変わっていない。変わっていないというのは作家に対して失礼な話だが、そのスケールや求心力みたいなものにゆったりと変化はあるとして、だけど基本的には「少女」というカテゴリーに特化し「少女」しか持ち得ない歪んで魅惑的な世界観をこつこつと築き上げている、というのは変わらないだろう。
最初こそその独特な、熱気と狂気とクールをごちゃ混ぜにした世界に酔わされたのだが、さすがにちょっと慣れてきた。というか正直言うなら、少し飽きた。でもこれは別にこの作品が悪いとかそういうことではなくて、作家ってとくに文章とその世界観の個性が強ければ強いほど読み手に食傷を味あわせるもんなんです。もちろんスタイル貫いて欲しいというのが半分、ちょっと驚かせて欲しいなという期待も半分、でしょうか。
ちなみに、面白かったですよ? ただまぁ、桜庭一樹の小説だなぁと、それ以上の感想が持てなかったのが残念、かな。というか多分、私自身が桜庭作品に対する期待値が高過ぎてここ最近評価が低くなっているだけで、今の本屋さんの新刊平台に並んでいる作品の中で5作選べと言われたら間違いなく入ります。………ただ3作だと入らないかもしれないけど、ホラ読書の秋だからいろいろ新刊もたっぷりで目移りするから、ね。