死亡推定時刻 (光文社文庫)(朔立木)

死亡推定時刻 (光文社文庫)

死亡推定時刻 (光文社文庫)

明らかにえん罪と思われる事件の詳細から裁判の様子まで描かれた社会派ミステリ。作者は現役法律家らしくて、確かに所々の描写からはリアリティが立ち上る。
けど小説としてはどうよ? 小説を書こうと思って書いたものではない気がする。事実、著者本人があとがきで「この作品を、フィクションと呼ぶのだろうか。ドキュメントあるいはリポートと呼びたい気持ちがある」と述べている。いや、ノンフィクションじゃないならフィクションじゃないの、と呟かざるを得ないのだが。逆に、「この作品を、小説を呼ぶのだろうか」と問われれば調子に乗るなと言いたい気もする。なんかね、半端なんです。小説家としての技術が欠落している。本業じゃなんだから必要ないのかもしれませんが、