三月の招待状(角田光代)

三月の招待状

三月の招待状

大学時代いわゆる青春を共にした仲間と自分のそれぞれの現在を連作で描いた、まぁ角田光代にしてはお得意なんではないかと思う感じのヤツです。
最近はちょっと意外というか挑戦的な作品が続いてたんで、ファンとしては逆にホームな感じで落ち着いて読めましたけどね。でも改めて、やっぱこういうの書かせると上手いなぁって改めて心に染みました。
ことの起こりは在学中からくっついたり別れたりしたカップルの離婚パーティー。直接の関係はないものの、踏み出したり踏み出さなかったりとそれぞれの転機が丁寧に描かれる。
この人の作品を読むと年をとるのも悪くないなぁと思わされる。
正直ここで描かれるカップルたちの相性の悪さにはせめて他人事でいたいと思いたくなるほどなのだが、確約される安定などないのだとそれを知って笑ってしまうのは変なのだろうか。
結婚した次の日に隠し子の存在を知らされるかもしれない。
結婚して30年後に離婚してくれと土下座されるかもしれない。
だから面白いは言い過ぎかもしれないが、長い目で見れば面白くないも言い過ぎだと思う。
というわけでいろんな人にお勧めです。