辛い飴―永見緋太郎の事件簿 (創元クライム・クラブ)(田中啓文)

格好良いとか素敵とか渋いとか、そういう言葉がミステリにふさわしいかどうかわからない。わからないけどでも、この永見緋太郎シリーズはどうにも、格好良いし素敵だし渋いのだ。
特に表題作がいいですね。聞いたこともないビッグバンドのセッションが聞こえたよ。
社会現象にまでなる漫画とは違って小説はそこまでフューチャーされないけど、同じなんだよね。『のだめ』を読んでクラシックが聞こえたなら、この「永見緋太郎」シリーズ読めばジャズが聞こえる。そして事実としてその音を聞いてはないのに、文字だけで心震わされたりもするのだ。