夕凪の街 桜の国 (アクションコミックス)

[rakuten:book:12073051:detail]
とにかく原作漫画が素晴らしかったので、ちょっと期待して見に行きました。期待ってのもちょっとちがうかな。題材が題材だけに、しかも原作が素晴らしいし、はずれることはないだろうという気持ちで。
で、やっぱり良かったです。とくに前半の『夕凪の街』。麻生久美子が本当に良かった。可愛らしくも、原爆というトラウマから抜け出せない可憐な女性を見事に演じていたように思う。一方で後半の『桜の国』はもともとストーリーが淡々としているのだけど、田中麗奈の小器用さがちょっと鼻についたかな。というわけで、わたし的にはトップクレジットは田中麗奈でなくて麻生久美子です。
あとストーリー的にはかなり原作を忠実になぞっているので安全パイなのだけど、原作のP23-24の皆実の独白を抜いてしまっていたのが残念。ハードな部分はぼかしたいという方向性はわかるのだけど、「本当にそう思われても仕方のない人間に自分がなってしまったこと」という言葉の裏付けとして必要だった気がするのだけど、どうでしょう。
でもね、ホント観て良かったです。なんかボロボロ泣くってわけじゃないんですけど、涙をこらえながら見る映画でした。

ぜんたい この街の人は 不自然だ
誰もあの事を言わない
いまだにわけがわからないのだ
わかっているのは「死ねばいい」と誰かに思われたということ
思われたのに生き延びているということ
そしていちばん怖いのは
あれ以来
本当にそう思われても仕方のない
人間に自分がなってしまったことに
自分で時々 気付いてしまう ことだ

嬉しい?
十年経ったけど
原爆を落とした人はわたしを見て
「やった! またひとり殺せた」
とちゃんと思うてくれとる?

夕凪の街 桜の国 (アクションコミックス)

夕凪の街 桜の国 (アクションコミックス)