木洩れ日に泳ぐ魚(恩田陸)
- 作者: 恩田陸
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2007/07
- メディア: 単行本
- クリック: 24回
- この商品を含むブログ (97件) を見る
更新久しぶりです。
恩田陸の最新長編。見逃せませんわね。
印象としては、一周回ってお得意のステージに戻ってきたかな、という感じ。
舞台はがらんとしたアパートの一室。明日には部屋を引き払って別々に住む男と女が、最後に酒を酌み交わす。二人は最後にどうしても、話さなければならないことがある。二人はお互いに「ある男」を殺したのは相手だと疑っている………。
ね? 恩田陸ワールド、全開でしょ。
系譜としては『木曜組曲』とか『黒と茶の幻想』のラインかな? そういう作品が過去にあるから新鮮味こそないものの、登場人物は基本二人ということでハードルも上がってるし、それにやっぱりこういう固定された舞台での心理サスペンスはもう、お家芸ですね。ぐいぐい引き込んでくる。
前作の『中庭の出来事』があまりに好みだったためにちょっとだけ物足りなさを感じたのも事実だけど、次か、その次か、きっとまた読者の期待を上回る、もしくはいい意味で裏切ってくれる作品を出してくれるだろうと疑いもしないので、逆に懐かしささえ感じるような本作もまた、楽しんで読めるのかもしれない。いや、普通に楽しめるんですけどね?