青年のための読書クラブ(桜庭一樹)

青年のための読書クラブ

青年のための読書クラブ

桜庭一樹の最新刊は、名門お嬢様学校における変人の巣窟<読書クラブ>にまつわる不思議な事件を描いた短編集です。


舞台は東京の山の手の伝統あるお嬢様学校、聖マリアナ学園。そこは、名門のお嬢様達とシスターだけの世界……のはずだが、そこから少しはみ出した少女たちが伝統的に集う場所があった。それが<読書クラブ>。100年という学園の歴史のなかで、クラブの地味な少女たちは、ときに意図的に、ときに巻き込まれるかたちで、学園の『黒歴史』に深く関わっていた。つくりものめいた会話、つくりものめいた事件、つくりものめいた世界。激しい変容を遂げる社会に影響を受けながらも、常にクラシックでどこか浮世離れした少女たちの世界が、シニカルに描かれる。


いかにもだなぁと思いつつ、桜庭一樹の最新作への期待の大きさという点では肩すかし感も。わざとかもしれないけど、登場人物たちの感情があまりにもフラット。キャラクターという記号の上での感情でしかなかったように思えてしかたなかった。ストーリーも時代に左右されない世界の物語であるとしても、100年というスパンがあまり意味をなしてないように感じてしまうというのは、どうなんだろう。


ま、次作に期待ということで。