軽いめまい (講談社文庫)(金井美恵子)

軽いめまい (講談社文庫)

軽いめまい (講談社文庫)

で、金井美恵子の小説って読んだ記憶がないなぁと改めて手に取ったのだけど、このブログをさかのぼると過去に読んでましたわ! しかもまさにこの小説を! すっかり忘れて再び購入して初めて読んだ気になってたんですね〜。……もうホント、海馬がアルコールにひたり過ぎなのかもしれん……生まれかわりたい気持ちです。


というわけで改めてのレビュー。前回読んだときはまったくこの作品を理解してませんでした。というか二年半前の自分はこんなにも読解力が低かったのかと、愕然とさせられる思いです。


この作品は、夏美という専業主婦の生活とその思考が、つらつらと丹念に描かれた、それだけの作品である。つまらなそうな説明でゴメン。
でもね、ものすごく濃厚な手触りを感じる作品なのだ。「これといった趣味もない専業主婦」というコンプレックスと退屈が生み出す、静かな狂気。それが噴出するかしないか、という微妙な瞬間が物語の端々に潜む。ドラマチックな展開はとくにない、普通の主婦の日々を追った文章が、上等なサスペンスのようだ。


エッセイも小説も、急いでかき集めることになりそうです。嬉しいことです。