水上のパッサカリア(海野碧)

水上のパッサカリア

水上のパッサカリア

第十回日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作。

腕の良い自動車整備工・大道寺勉は3年半前からQ県にある湖畔の借家で、一回り近く年下の片岡菜津と穏やかに暮らしていた。半年前、暴走族の無理な追い越しによる交通事故に巻き込まれ、菜津が死んだ--。菜津が育てた飼い犬と静かな暮らしを続けていた11月のある日、勉が帰宅すると昔の仲間が家の前で待っていた。菜津は謀殺されたのだという、衝撃的な事実を携えて…。

圧倒的な文章力に緻密な描写力。満場一致で日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞した快作! 次作が待ち望まれる大型新人、登場。

なんか、不思議な読後感。ラベルをつけるならハードボイルドなんだろうけど、要所要所のシーンが喜劇っぽいのだ。だから読者を巻き込むようなスリリング性には欠けるのだけど、そのちょっと浮いた感じが魅力な気がしなくもない。ストーリー自体もキャラにもあまり魅力は感じないのだけど、全体の「演じてる」雰囲気が何故か気に入った。
次作にはもっとアクの強い作品を希望。