片眼の猿 One‐eyed monkeys(道尾秀介)
- 作者: 道尾秀介
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2007/02/24
- メディア: 単行本
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カバー見返しのあらすじよりーー
俺は私立探偵。ちょっとした特技のため、この業界では有名人だ。
その秘密は追々分かってくるだろうが、「音」に関することだ、とだけ言っておこう。
今はある産業スパイについての仕事をしている。地味だが報酬が破格なのだ。
楽勝な仕事だったはずがーー。
気付けば俺は、とんでもない現場を「目撃」してしまっていた。
帯(裏)よりーー
まず断言してしまいます。
どんだけ眉に唾を付けて読んでいただいても、著者の企みを100パーセント見抜くのは不可能でしょう。
どうぞ、目一杯期待して読んでください。そして、驚いてください。
さらに、トリックがテーマと分ちがたく結びついていることに感嘆してください。
「やられた」だけでは終わらせない、名手・道尾の最新ステージ、堂々開幕!
わたしはあまりいいミステリ読者ではないなぁと、こういう叙述系のミステリを読んだとき、とくにそう思う。
作者はいかに読者を欺くかにさまざまな技巧を凝らし、読者はそれを見破るのに想像を張り巡らす。そういうのが叙述系ミステリにおける、作者と読者の最高のタッグなんだろうけど、わたしのような張り合いのない読者もいるわけで。
それだけが問題でした。わたしののミステリに対するモチベーションの低さだけが。もともと見破ろうと思ってないから、ラストでネタが明らかになっても今ひとつリアクションが薄いという。本格系も同じなんですよね。見破ろうと思ってないから、歯ごたえがない。もーミステリ読むなって話かもしれません。トリックそのものより、背景が重厚なやつは大好物なんですけどねー。
でもこの作品、面白かったですよ。何を今さら。でもテンポいいし、サブまでキャラ立ってるしで、ほぼ一気読みでした。このキャラの立ちぐあいはぜひシリーズ化して欲しいくらいだけど……どうなんでしょう。このアパートのメンバーの素性は明らかにした上であえて、普通に探偵物語とか……やっぱダメでしょうか。。。