それってどうなの主義(齋藤美奈子)
- 作者: 斎藤美奈子
- 出版社/メーカー: 白水社
- 発売日: 2007/02
- メディア: 単行本
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『たまには、時事ネタ』に続いての、時事ネタ系コラムをまとめたもの。
もともと『妊娠小説』や『文壇アイドル論』など近現代の小説論が面白くてこの著者の作品を片っ端から読んでいるものの、個人的には時事ネタコラムはあまり読まないので、感想が書き辛い。でも基本的にこの人の立ち位置は好きだなぁ。あとじわじわと静かに浸透してるものとか、スルーしがちなものにスポットをあててくれてるので、社会に対する自分の「ぼんやり加減」がよくわかる。
個人的に気になったのは……
「バーチャルな語尾」→TV番組での外国人へのインタビューの日本語吹き替え……単なる翻訳ではなく演出が入ってしまっている件について。
「武将の気性」→小学六年生のテストが「あなたは信長、秀吉、家康のだれになりたいですか。その理由も考えて答えなさい」……わたしが親で、子供がこんな宿題を持ち帰ったら確実にキレる。
その他もいろいろあるんですよ? ニュースになった時はイラッときたもののすぐに忘れちゃうんで、「あぁ〜こんなんあった!」と思い出し怒りもしてしまうし、でも苛立を蓄積する体力もないんでスルーしてしまうのが当たり前になった自分にイチャモンつける権利もないんじゃないかとさらに無気力になったり。……でも国民が無気力になってしまうときに、裏でガンガンおかしな法案がスルーされてるんだよなぁ。
最近とみに思うけど、びっくりするほど今の日本の政治は民意を無視してる。野党も存在価値なくなってるし。選挙のときだけ媚びる政治家に、「長いものには巻かれろ」な永田町に、何を期待しろと? 無気力になっちゃダメだと自戒する一方、どう考えても出口はなくて無気力にならざるを得ない現実もあるのだ。
齋藤姉さんの毒舌にスカッとしながらも、ホントどうなのこの国?って考えさせられます。「それってどうなの」アンテナをもっと活躍させたいと思う。諦めの境地にいてもどうしようもないし、自分の国だしね。(でも「自分の国だし」と現状を受け入れつつ、未来のビジョンを描ける政治家っているんだろうか?…いたとしても政治家として成功できなさそうだ……)