ラスト・イニング(あさのあつこ)

ラスト・イニング

ラスト・イニング

「バッテリー」屈指の人気キャラクター
瑞垣の目を通して語られる、彼らのその後の物語ー

とりあえず「バッテリー」ファンには、この帯の文句だけで十分でしょう。
相変わらずのザル頭で、巧、瑞垣、青葉という自分の好きだったキャラ以外はイマイチ思い出せないまま読んでしまったけど、やっぱぐいぐい引き込まれてしまいました。やっぱシリーズ全体の、そして心情描写の「熱さ」がユニーク。リアリティーには欠けるものの、もうそこは力技で、またこちらもそれまで読んできた愛情があるだけに無条件で再会を喜んでしまう。
キャラが魅力的な上に、シリーズ自体は微妙な終わり方をしてしまってるので、こういうスピンオフ的な形をとって「その後」を描いていくのもアリだろうなぁと思う。なにせ本編は6巻で一年間だったわけだから(しかも中一!)そのペースでもってある程度の区切りをつけるのは難しそうだけど、今作のようにいいところをつまんで続けていってもいいのでは?
しかし本編では巧と豪、今作では瑞垣と門脇と、あとそのほかチームメイトとの関係にしても、とにかく男同士の関係性をねちっこく描くなぁ。もうボーイズラブ寸前ですよ。実際、中学生の男の子の友情の密度なんて知らないし、著者が狙って書いてるかどうかもわからないけど、まぁどちらにせよ読者は増えそうなのでいいのではないかと。