でかい月だな(水森サトリ)

でかい月だな

でかい月だな

小説すばる新人賞つながりということで読んでみました。というのは嘘で、しばらく前に読んだのに感想を書いてなかったやつですが。本作は第19回の受賞作。ちなみに『ジョッキー』は第14回の受賞作です。

ある満月の夜、友人に突然崖から蹴り落とされた中学生の「ぼく」。一命はとりとめるが、大好きなバスケットボールができない身体になってしまう。


ううーん。これだけいろんな要素詰め込んでてさらっと読めちゃうってのが問題かも。自分を突き落とした友だちのことも、その友だちに対する自分とまわりの感情のギャップも、集団催眠のようなホラーチックな展開も、オカルト少女の示唆も、な〜んか消化不良。いや消化不良というより、食い足りない、というほうが近いか? 主人公の少年と、なぜか彼を突き落とした友だち、という設定はとても面白いんだけど、あいまに紡がれるオカルティックなエピソードがなじんでなくて場つなぎのように感じてしまった。細かなエピソードそのものが軸になっているようで、ストーリーそのものの軸がふらふらしているような。文章は読みやすいんでさらりと読めちゃうんだけどねぇ。


ま、次作があればそれに期待ということで。