フィッシュストーリー(伊坂幸太郎)
- 作者: 伊坂幸太郎
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2007/01/30
- メディア: 単行本
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伊坂幸太郎、初の短編集だ。表題の「フィッシュストーリー」とは<ホラ話>の意。「伊坂作品を彩る名傍役たちが巻き込まれる、新たな事件の数々ーーー。」と帯に書かれてるが、過去の作品の登場人物のななどまったく覚えてないので、普通に単独に楽しみました。逆に言えば過去の作品を何一つ読んでなくても、楽しめる作品だということで。
★「動物園のエンジン」
動物園に寝泊まりし、近隣のマンション建設反対運動に参加する<彼>の真意とは……?
深夜の動物園というシチュエーションがすごく好み。
★「サクリファイス」
泥棒兼探偵の黒澤は、ある組織の依頼によってひとりの男を追い、山奥の村までやって来た。そこでは<こもり様>という奇妙な風習があって……?
面白くないわけじゃないけど、もうちょっと村の閉鎖感みたいのがあったほうが良かったかも。初対面の黒澤にみんなベラベラしゃべりすぎだー。
★「フィッシュストーリー」
売れないロックバンドのラストアルバムに残るなぞの空白時間……それが時空を超えて二人の女性を救う!
すごく可愛らしいストーリー。
★「ポテチ」
冴えない泥棒と、監督に嫌われ万年補欠のプロ野球選手。二人を繋ぐ糸とは……?
唯一の書き下ろし。「動物園のエンジン」と並んで、人情味たっぷりのラストです。
というわけでどれも伊坂幸太郎らしい洒落た会話に彩られ、ひねりの利いたライトな物語ばかりで。伊坂ファンならずとも気軽に楽しめる一作だと思います。