働きマン(3) (モーニング KC)

働きマン(3) (モーニング KC)

働きマン(3) (モーニング KC)

まだ3巻しか出てないのにアニメ化が決定してしまった人気作。個人的にも大好きな漫画ですが、『シュガシュガルーン』でお忙しいのか、コチラの連載が滞りがちなところがちょっと寂しいですね。
しかし今回も濃いです。だから感想も濃くしようかと思います。


VOL16『知らないところに来ちゃったマン』
前回松方のとってきたスクープで禍根を残した西田が漫画雑誌『ブレイブ』から『JIDAI』へ、『JIDAI』の張り番だった菅原が『ブレイブ』へ移動することに。西田はノリの悪い『JIDAI』編集部で居心地が悪く、一方の菅原は『ブレイブ』のユルさに苛立つが……。
西田さんがけっこう好きなんですよ、わたし。松方へ意趣返しをしてるけど、基本はさっぱりしてて子供みたい。なんか恨めないタイプの人。
そして何と言っても菅原さんだ。張り番のときはピリピリしてたのに、漫画の世界に引き込まれるにつれ、なんだか表情が柔らかく……!!!? 

ヤバい。本当に好きだわ、このキャラ。


VOL17&18『働かないマン(前後編)』
謎めいた美人編集者・梶さんについにスポットが当たる!

担当する作家とは全員寝ていると陰で噂されるも、オトコだらけの殺伐とした編集部の中では高嶺の花な存在だ。同じように担当するスポーツ選手と関係があるのではと噂される由美ちゃんは、あくまで「女の子」としてまわりを上手くあしらっているのに対し、梶さんは松方いわく「治外法権」、オトコたちからチヤホヤされる特別な存在だ。
今回は二話にわたって梶さんの話だが、個人的には由美ちゃんが梶さんに意見するあたりが面白かった。由美ちゃん、オトコのセクハラ発言はスルーするのに、女には厳しいっすねw。社外に出れば携帯も通じない気ままな梶さんに、松方でさえスルーしてるのに由美ちゃんはきちんと抗議する。由美ちゃんの真面目な性格がかいま見れるいいエピソードだと思う。


VOL19『ずぶ濡れマン』
松方のアパートが上の階の水漏れで水浸しに。それをきっかけに久しぶりに恋人の新二と顔を合わせる。
松方の仕事へのまっすぐな情熱を前に、常に劣等感を感じていた新二は、ついに別れを切り出す! 松方はまたしても心を押し殺して別れを受入れるが……。

こんなにちぎれそうになって なんでわたしは働いてるのかな
我らが働きマンがくじけそうです。そしてこの問題は尾を引きます。


VOL20『いつか勝負をかけるぞマン』
第一話からたびたび登場し、そのたびに松方の神経を逆撫でしてる後輩・田中。相変わらずプライドばかり高く今の仕事に満足してない田中が、新入社員の面倒を見るよう命じられる。ちなみにこの新入社員、松方が面接した子ですね。
ここでは「怒る」ことがテーマになってる。わたしも仕事するようになって初めて気付いたけど、「怒る」ってその相手のことを思ってなければできないことなんだよね。だってどうでもいい人に対してパワー使いたくないもの。「怒る」のはかなり精神的疲弊だし、後味も良くないし、もーいちいち怒るくらいなら疲れるから自分でやっちゃおう、もしくは無視しようってなっちゃう。
このエピソードは秀悦。まず松方が、新人をアゴで使う田中に対して「怒る」。怒ったあと一人でへこむ松方に編集長がポンと肩を叩いた。はげまし? 編集長はその夜、同期と酒を飲みながら「いつから俺達は怒んなくなったんだろうな」と愚痴る。一方田中はきちんとウラのとれてないスクープを認めてもらえなくてデスク相手に「リスキーなことやんなきゃ紙面なんてあたらしくなんないっすよ」と怒鳴りちらす。田中のアツい一面を初めて見て驚く編集部。ただ速攻でそれはガセネタだと証明され、田中は編集長からグーで殴られちゃいますがw。

その後編集部で「リスキー」というあだ名で呼ばれることになった田中に、ちょっとだけ愛着を持ってしまいました。


VOL21『こわもてマン』
すっかりファンになってしまった菅原さん!の回です。落ち目の漫画家を、初めて「担当」することになった菅原。もう漫画なんて止めて植木屋になろうと思う……なんて言い出した作家にハッパをかけるため、じゃあ次回作は植木屋モノってことで!と勝手に資料を集め始める。
で、あっさり松方に植木職人の知り合いはいないか尋ねてしまうあたり、菅原さんの変化が見えます。昔はカモフラージュのための張り番を誘うのもいやがってたのに……。松方は快く知り合いの植木職人の連絡先を教えるも、「基本的に職人さんはしゃべってくれないよ」とアドバイス。が……

いやがられる取材 何年やってたと思ってんだ そんなのへでもねぇよ
菅原さん、サイコーです。
いろいろな意味で菅原さんの成長が感じられるいいエピソードでした。植木職人さんも素敵だし。



VOL22『帰ってきた働きマン
新二との別れを引きずる松方。相手を選ばず毎晩飲み明かし、やりたかった企画がやっと通ったのにめんどくさく感じ、担当作家にも偉そうなことを言って……。
別れの原因を直視せずに、どんどんマイナス方向に傾いていく。そんな松方の状況が、一切改善されない産廃問題とオーバーラップする。
これも良くできたエピソードだと思う。何をやっても前向きになれない松方が、産廃問題について取材したとき、自分自身の問題と同じだと気付く。向かい合うのが怖くて目をそらしていたこと。

新二と別れることになった本当の理由を 自分の中に見つけるのが怖くて 泣いて酒飲んでやさぐれていた
ラストで同じく失恋仲間だった知り合いがすでに新しい恋人と歩いてるところを目撃し、「仕事」によって失恋を乗り越えた自分へのツッコミはナイスです。

「新しい恋」をカンフル剤にするという選択肢が1ミリもなかったことに我ながらびっくり……らしいですが、松方らしいですね。


VOL23『オヤジマン』
次期総裁候補の政治家「オヤジ」。松方の追っていた産廃問題がらみで深く関わってくるが……。
タカハシに再会!!!

スキャンダルで揺れない「オヤジ」も何故か格好よく見えるけど、やっぱ何はともあれタカハシでしょ、というエピソードでした……。『ハッピーマニア』を読んでる読者へのプレゼントかしら。


まーとにもかくにも、濃くて楽しい一作でした。