12番目のカード(ジェフリー・ディーヴァー)★★★★
- 作者: ジェフリーディーヴァー,Jeffery Deaver,池田真紀子
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2006/09
- メディア: 単行本
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待ってましたとも! <リンカーン・ライム>シリーズ最新刊!! 書店で発見して文字どおり、飛びついちゃいました。
事件の始まりは博物館内の図書室。早朝から調べものをしていたハイスクールの女子学生・ジェニーヴァが何者かに襲われそうになるも、彼女の機転によって事件は未遂となるが、犯人が現場に遺したミスリードのための小道具が、事件の奥深さをライムに教えることとなってしまった。ジェニーヴァが調べていた自らのルーツ……およそ140年前の公民権運動で活躍し、その後窃盗事件で裁かれたチャールズ・シングルトンの<秘密>こそが肝なのか? ライムの捜査の手は150年前の事件でさえ果敢に挑む。
今作未読の<リンカーン・ライム>シリーズファンのために言っておくと、今作はわりと地味です! もちろん面白くないわけじゃないですよ。パイオニア的な存在である公民権運動時の、そして現代の人種差別問題が上手く取り入れてあって、読み応えは抜群。
ただ前作が『魔術師』でしょ!? もうこれ以上の犯罪者をつくり出すのは無理だろうと思えるほどの傑作だったわけで。でも同じラインでそこを越える作品が来る可能性に期待しなかった、と言えば嘘になる。
本作はディーヴァーの持ち味である<ジェットコースター・ミステリ>としてはちょっと緩い。期待以上の興奮を得れるかというとそうではないかんじ。犯罪者がライムにとっては格下だからか。140年前の不可解な事件を絡めることで物語の厚みを増してはいるが、いかんせん緊迫感がないのがちょい残念?
とはいえ楽しんで一気読みしちゃいましたからね。もちろん次の作品も楽しみ。解説者によれば次の作品は『The Cold Moon』というライムシリーズの新作らしく、しかも緊迫感たっぷりの作品っぽい。期待します!