一瞬の風になれ 第二部 -ヨウイ-(佐藤多佳子)★★★★

一瞬の風になれ 第二部 -ヨウイ-

一瞬の風になれ 第二部 -ヨウイ-

おーやっぱ毎月刊行だと楽しいですね。さすがに一ヶ月前ならギリギリ記憶あるし。「え?もう出たの?」って嬉しくなるし。一人の探偵とかが主人公となって一話完結みたいにして続くシリーズものじゃなくて、ひとつの大きなストーリーを追う続きモノって辛いんですよね。記憶力は抜群に悪いくせに、完結するまで待てずに読むわたしのような人間にとっては。漫画だったらパラパラと読み返せるし、そうでなくても頻繁に読み返したりしてるので大丈夫なんですけど。小説はパラパラと読み返してもよくわからないし。えっと今わたしはいつのまにか、あさのあつこ『No.6』への文句を言ってますね。今月新刊が出てさっそく読み始めたものの、前作の状況が思い出せない。半年にいっぺん出るか出ないかくらいなんだから、せめて記憶を呼び戻すためのあらすじくらい載っけとけよ、とちょっと逆ギレしてたんで。


そんなことはさておき、『一瞬の風になれ』四部作の第二弾です。
しかしちょっと気になるのはサブタイトル。一作目は<イチニツイテ>、で二作目が<ヨウイ>なんですよ。次が<ドン>でも<スタート>でも<パン>(←これはないか…)でも最終巻は<!>しかなくないか!? ま、中身には全然関係ないんですけど、ちょっと気になります。どうなるんだろう。


今回は、相変わらずというかどんどん陸上という競技に魅せられ呆れられるほど練習に熱中する新二、マイペースながらもゆっくりとまわりと合わせるようになった天才スプリンター・連。チームの主軸である二人の成長や期待できる新入生たちの活躍がある一方で、世代交代やエースの故障など様々な不安要素を抱え、一進一退の春高陸上部。
新二がキャプテンの座を受け継いでから初めての新人戦。部員たちの集中力は高まるが、思いもかけぬトラブルが新二を襲う……。


新二のなかにある様々な感情が丁寧に描かれる。ついにJリーグ入りを果たした兄への揺るぎない尊敬と心の片隅にくすぶる屈折感を抱え、連の走りを見て素直に憧れ、同時に闘志もかき立てられ、一方で幼なじみとしてチームメイトとして不安定な連を気遣い、他校のライバルたちから刺激を受け、キャプテンとしての責任も感じ、谷口への恋心にも苦しんで……。青春だねぇ!


まだ折り返し地点。完結するまでわからないけど、もうちょっと大会時の緊張感が増してくれればいいなと思う。