アジア新聞屋台村(高野秀行)★★★

アジア新聞屋台村

アジア新聞屋台村

ノンフィクションライターである著者の初めての小説。本書は、著者がかつて関わった複数のアジア系ミニコミ出版社での体験をもとに書いたものであるらしい。
仕事にあぶれたライターである主人公・タカノに舞い込んできた一本の電話。それが複数のアジア系新聞を出版する会社「エイジアン」と、台湾出身のとんでもない女社長・劉、そしてユニークな仲間たちと過ごす日々の始まりだった。
う〜ん。なんといえばいいのか……。いや、面白いのだ。興味深いエピソードがいっぱいで、ほぼ一気読みだったし。ただこれが小説か?と問われると首をひねりたくなってしまう。いや小説と書いてあるのだから小説なんだろうけど。
思うにとても客観的なのがひとつの要因かもしれない。視点がノンフィクションなのだ。一歩引いてる感じ。さらには、著者の都合で勝手に主人公たちを動かしてはいかん!という抑制のようなものすら感じるのである。だからキャラが生きてない。キャラを生かすつくりになってない。現実はそんなものかもしれないけどさ。
もっと主観的になればいいのに。面白エピソードなんて削って主人公の苛立や期待や失望をぶつければいいのに。なんてことを思いました。