沈黙のあと (創元推理文庫)(ジョナサン・キャロル)★★★★★

オンライン書店ビーケーワン:沈黙のあと
ふあ〜。やっぱジョナサン・キャロルはいい。そればっか言ってますけどね、えぇ。いやでも凄かった。途中から止まらなかった。そして突き放されたラストに、しばし呆然。こんな読書体験させてくれる作家はそうはいない。

ぼくはいま、息子の頭に銃を突きつけて殺そうとしている。なのに息子は微笑んでさえいる。どうしてこんなことになってしまったのか、聞いてくれ。美術館で出会った魅力的な母と子。父親はいないという。そう、このふたりを愛してしまったとき、すべての“終わり”が始まったのだ……完璧な幸福の完璧な崩壊を描く超問題作!

愛する息子に銃を突きつける衝撃のワンシーン。なぜ? しかし読者には何の情報も与えぬまま、物語は過去へと遡る……。完璧で幸せだった家族を完膚なきまでにたたきつぶす、その要因とは何だったのか?
今回はファンタジーではなく、思いっきりダークなサスペンスだ。たった3人の家族の物語だからこそ、キャロルのトリッキーな構成が冴え渡る。ネタバレになるのであまり詳しくは書けないが、このラストの波状攻撃に手を休める読者なんていないと断言しておきたい。
次は短編集でも読もうかな。