文芸漫談 笑うブンガク入門(いとうせいこう×奥泉光+渡部直己)★★★★★

文芸漫談 笑うブンガク入門

文芸漫談 笑うブンガク入門

発売された当初から読みたいとは思ってたものの、著者二人の小説をほとんど読んでないんだよね。二人あわせても奥泉氏の『浪漫的な行軍の記録』のみ! 読もう読もうと思いつつ、棚に眠ってる『鳥類学者のファンタジア』をそろそろ読まねばならん。いとうせいこう氏の小説はまったく。みうらじゅん氏との爆笑見仏エッセイ『見仏記』シリーズは大好きなんだけども。そして何より深夜番組「虎ノ門」のあの名実況ぶりは大好き。
しかし反省。そんな言い訳しながら読むのを先送りしていたのを後悔した。面白いじゃないの! 
本書はタイトルそのまま、実際にお客さんを前にしての<文芸漫談>を起こしたものがベースとなっている文学入門書である。文学とは何か、表現とは何か、小説とは何か、そんな奥深いところに入り込んでるにも関わらず、笑って楽しめちゃう。でもぶっちゃけ文字となってるものを読むから理解出来るのであって、会場とかで聞いても半分も理解出来ないかも。ってくらいに話の中身は高度なんだよね。でも漫談(笑)。
個人的にも非常に勉強になった。こんだけ小説読んでるくせに、文学そのものにはあまり目を向けてない娯楽読者である故か、なるほど!と思う部分がたくさんあった。あったのだけど、その合間合間に差し挟まれるおもしろエピソードが強烈すぎて、すでに記憶の彼方に飛んでいってしまった気が……。奥泉氏の、フランスの文学村祭りとか保育園とかのエピソードが愉快でたまんないし、対するいとう氏のツッコミ&合いの手+進行は冴えまくりだし。電車の中とかで読まなくて良かったです、ホント。そして渡部氏による脚注もナイスです。本来の脚注の使命プラス対談してる二人へのツッコミもありで。
これは第二弾、期待したいですね。出来れば対談も見に行ってみたい。