つきまとわれて (中公文庫)(今邑彩)★★★★
- 作者: 今邑彩
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2006/02/01
- メディア: 文庫
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ふと垣間見える意外な素顔は恐いかも?……当たり前の日常の裏に潜む、小さな謎やサスペンスを鮮やかに描いた連作短編集。
毒殺された娘の真相を突き止める漫画家……「おまえが犯人だ」、駆け落ちして家族を捨てた母のコートにまつわる謎……「帰り花」、姉の結婚を妨害しようとするストーカーの存在……「つきまとわれて」、駆け出しの探偵が偶然知った<隠された>お見合い……「六月の花嫁」、一枚の肖像画が語る画家の数奇な運命……「吾子の肖像」、マンションの住人に超能力者と恐れられる古株の住人の正体……「お告げ」、シミュレーションゲームと現実が近づくとき……「逢ふを待つ間に」、高校生の姪が同級生を呪う?……「生霊」。
一編一編のひねりもいいし、全体を通してのひねりも素晴らしい。例えば冒頭の「おまえが犯人だ」はミステリ的なひねりの後に、心理的にもう一回ひねってあるし、続く「帰り花」にまで繋がってるし。ラスト「生霊」は謎解きの後に、なんとそこへ繋がるのか!ってかんじだし。サスペンスというよりミステリ的な色合いが強いけど、連作ミステリとしてはかなり上等。たんに人物が繋がっていくだけじゃなくて、それぞれの短編が意外なかたちで繋がってますからね。驚きました。なにせ『いつもの朝に』しか読んでないから、サスペンスの短編かなぁと思って読んでたのに、大好物などんでん返しがいっぱいで楽しかった。しかもオチが鮮やか! これぞ短編の醍醐味とばかりのクオリティの高さで、大満足です。
この人の作品は全部読むぞ!