ページをめくれば (奇想コレクション)(ゼナ・ヘンダースン)★★★★★
- 作者: ゼナ・ヘンダースン,安野玲,山田順子
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2006/02/21
- メディア: 単行本
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人工衛星の打ち上げに沸く時代、発展にとり残された小さな学校にひとりの男の子が転校してきた…本邦初訳の「ピープル」シリーズ「忘れられないこと」をはじめ、デビュー作「おいで、ワゴン!」、異星人との交流を描いたハート・ウォーミングな物語「いちばん近い学校」、過去が見える眼をもつ女性がみた世界「鏡にて見るごとく―おぼろげに」他、全11篇を収録。
とても良かったです。フェミニンな視点が優しくて読み心地がいいのだけど、一方でホラー的な側面も強くて、引き込まれてしまう。ラストは切なかったりハッピーだったりするのだけど、どちらにしてもとても心を揺すぶられる。
著者が教師だったためか、子供に関する作品が多いのだけど、その中でも子供の信じる力が生み出した不思議な現象を描いた「しーっ!」「信じる子」「おいで、ワゴン!」がとても好き。ノンSFだけど「先生、知ってる?」も悲しいラストが印象的だ。表題作も切ない余韻がたまらないし、男社会をストレートに皮肉った「小委員会」も予定調和ながらいい物語だと思う。ま、どれもこれも良かったって話ですが。
それにしても奇想コレクションはやはりあなどれませんね。これまで読んだのは『夜更けのエントロピー』(ダン・シモンズ)と『どんがらがん』(アヴラム・デイヴィッドスン)と本書の3冊だけだけど、既刊の残り5冊もコンプリートしたくなってきました。今後は同シリーズにイーガンやウィリスも加えられるようなので、そちらも楽しみ!