東京ーベルリン/ベルリンー東京展 at 森美術館


美術館は久しぶり。最近、美術品関係の本を読んでいたせいか、単にヒマだったということもあるけど。
実はこの森美術館を訪れるのもはじめて。東京に住んでるってのにねぇ。行ってみたい企画展はこれまでもあったのだけど、なかなかタイミングが合わず…。
というわけで展望台もはじめて行きました。すごいね。普段見上げてる東京タワーが可愛く見える。


美術展の感想はたたみます。興味ある人はどうぞ。



一番好きだったは、現代ドイツの作家・キャンディス・ブレイツの<キング>という作品。
画像とわかりやすい説明はコチラ↓
http://book.shinchosha.co.jp/geishin/200604/std.html
マイケル・ジャクソンのファン16人に、個別にアルバム一枚まるまる歌い通してもらい、その映像を横一列に並べて同時に再生したもの。作品ではオリジナルの音源は出なくて参加者の歌声だけなんだけど、16人は音源を聞きながら歌ってるらしく、リズムはみなぴったり。
これがおっもしろいの。「アゥッ!!」って叫んだりムーンウォークしたりするのは当たり前ですよと言わんばかりのなりきりマイケルさんもいれば、歌ってる時はわりと普通なのにギターソロの部分ではいきなり弾けるおじちゃんもいるし、なぜかベリーダンスでセクシーに踊り歌う女性もいるし、やたらハモってくる黒人のおばちゃんもいるし、「たしかにファンだけどなんでこんな企画に参加しちゃったんだろう…」という心の声が聞こえてきそうなくらいテンション低めな女の子がいたり。
たぶんその中のひとつだけを見てたらすぐに飽きちゃうと思うんだけど、並べてあるから妙におかしいんだろうな。たぶん5曲くらいは聴いたんで、20分くらいはずっと見てたもの。素人のそれぞれの自由な演出が、合わさるとこんなに面白いなんて!
あとちょっとがっくりしたこと。16枚の液晶パネルのうち、3枚くらいがまったく映ってなかったんですよ。これはマイケルファンのお客さんにその場で参加してもらおうというアーティストの意向なのかと思ってたら、単に森美術館側の設備故障で映せなかったとのこと。なんじゃそら。


そしてクラクラしちゃったのは韓国のチェ・ウラムという人の作品。
http://www.ehills.co.jp/rp/dfw/EHILLS/photonews/photo_detail.php?no=77
これは企画展には関係ないみたいなんだけど、MAMプロジェクトとしてワンブース設けてあったのだ。これから行こうと思ってる人は、この展示ブースの一番奥にあるでっかい人食い花みたいなやつの正面に立ってひたすらその中心を見つめることをお勧めします。意識はしっかりしてるのに、視覚的な効果でトリップしちゃいます。比喩的な意味じゃなくて、本当に。


その他もなかなか興味深かった。日本とドイツの国交が始まって以降のもの(日本で言えば明治以降)なので、激動する両国の社会情勢も感じれるし。互いの文化から影響を受けた作品がメインなせいか、一見でどちらの国の画家の作品なのか分からないというのも面白かった。
戦争時のもので印象的だった作品(名前をメモしてくるのを忘れたけど日本人の作品)は、大きなキャンパスに空の中で爆破される戦闘機を描いた淡いトーンの油絵。それはかなり高い位置に展示してあった。大きなキャンパスで高い位置に展示してあると、どんだけ離れても見上げなくてはならない。そして見上げたとき、それを<目撃>してしまったようで、衝撃を受けた。一枚の絵を通してタイムスリップしてしまったのだ。ナイス演出です、森美術館
あと面白かったのは関東大震災時の<画報>。写真が高価であったせいか、写真の代わりにまだ絵が使われていたんでしょうね。でも、まったく臨場感が伝わってこない。まだ浮世絵の文化が素で残ってる時代なんだなぁと思う。リアルタイムで起きてる大惨事ですらも、劇画化しちゃうというそのかんじは、格好いい。


ま、いちいち思い出してるとキリがないんで止めときますが、とりあえず面白かったです。