落語娘(永田俊也/講談社)★★★★

落語娘
この人の作品読むのは初めて。

呪われた噺に挑む異端の師匠と女前座。
落語を愛する人々の物語

中学生時代、伯父に連れられ初めて観た落語にすっかりハマった香須美は、大学卒業後、落語の世界に飛び込むが、そこは今なお完全なる男社会。セクハラと嫌みに耐えながら前座として腕を磨く香須美だったが、何よりもの頭痛の種は師匠・三々亭平佐だった……。

どんな展開が来るのか予想できなくて、それだけに楽しく読めた。オチはわかってましたけどね。

落語が関わってくる小説はアタリが多い気がする。竹内真の「粗忽拳銃」とか田中啓文の「笑酔亭梅寿謎解噺」とかさ。落語は数回しか聞いたことないんだけど、有名な噺をいくつか知ってるのはタイガー&ドラゴンのおかげであります。


併録の「ええから加減」は中堅の女漫才師を主人公にしたちょっと切ない話。デビュー作とあってか(オール読物新人賞受賞作)、最新作に比べるとストーリー展開も人物造形も粗いけど、パワーを感じる作品でした。既刊の『シネマ・フェスティバル』も読んでみたい。