キタイ(吉来駿作/幻冬舎)★★★

キタイ
第6回ホラーサスペンス大賞の大賞受賞作。第6回なのに、今年でこの賞はなくなるらしい。これまでの受賞者の顔ぶれを見ると、とくに初期のあたりの受賞者は結構活躍してる。でも受賞作自体はヒットしてない。しかも賞金は1000万円!…しょうがないか。
これまでの受賞作は以下のとおり。
第6回 吉来駿作『キタイ』
第5回 沼田まほかる『9月が永遠に続けば』
第4回 高田侑 『奇跡の夜』
第3回 ネコ・ヤマモト『人形』
第2回 五十嵐貴久『黒髪の沼』
第1回 黒武洋『ヘリウム24』

この中で読んだことあるのはこの『キタイ』と第三回受賞作の『人形』だけだなぁ。この『人形』って作者名は佐藤ラギだったんだけど、今あちこちのサイトでこの賞の受賞作一覧を見てたら、みんなこのネコ・ヤマモトになってるんだよね。 ペンネームを変えられたのでしょうか。まぁいいけど。


で、本作ですが、予想の3倍くらいは面白かったです。

中国に伝わる死者復活の儀式・キタイ。その儀式を行うと、遺体の中に青い玉が生じる。そして、ぬめりながら零れ落ちるその玉を飲んだ時、その者に死者が乗り移って甦るという。深町たち8人の高校生は、死んだ仲間・葛西を甦らせようとキタイを行った。しかし、葛西は甦らず、青い玉を飲んだ彼らの人生が大きく狂い始める。あれから18年。葛西は、当時のままの姿で復活を遂げた。そして、キタイの秘密を知るかつての仲間を殺し、永遠の命を得ようとするが……。

話の骨格だけ見てみると、浦沢直樹の『20世紀少年』。だから面白かったのかも。でも細かいエピソードがうまく繋がってて、ぐいぐい引き込んでくるパワーも感じる。読み終わればいろいろ突っ込みたくなるけど、読んでる間は楽しかったので個人的にはOKです。頑張って次作も書いてほしい。