報復ふたたび (ヴィレッジブックス)(ジリアン・ホフマン/ヴィレッジブックス)<30>

報復ふたたび (ヴィレッジブックス)
上記の「復讐」を読み終えた後、面白い本読んだなぁと余韻に浸りながら本屋をぶらついてたら、翻訳文庫の平台にこの本が…!! まったく知らなかったので嬉しいオドロキで、そりゃ速攻で読んじゃうでしょう。
前作から3年、C・Jは変わらず検事として多忙な日々を送っていたが、ある連続殺人事件が彼女の人生を揺さぶりはじめる。被害者はすべて警察官、しかも前作の"あの事件"の関係者ばかりが次々と殺害されていくのだ。精神のバランスを崩し始めたC・Jはマイアミを離れるが…!?
前作のラストからして割り切れないものはあったが、まさかここまで引っ張るとは! 前作とあわせて「復讐(上下巻)」としても良かったんじゃないかと思えるほどに前作とのつながりが強い。しかも本作のラストシーンからするとまだこの事件は続きそう…いい加減バントリングは死んでほしいのだけど。
前作に比べて集中力が感じられないのは、視点が安定しないせいだろう。両作とも、幾人もの登場人物が視点になって物語が進行する。前作はC・Jの視点を作品の<核>にしていたからこそ、サスペンス性が高まったし集中力が感じられた。今作は後半に進むにつれ、一番サスペンス性をあおるC・Jを視点としたストーリーからずれていくから物足りなさを感じたのかもしれない。でもこれも含めて次の作品への伏線かもしれないのであまり強くはいえないが。
先に注文を付けておきながらなんだが、実は面白かったんだよね、これも。もうちょっとラストに意外性が欲しかったとか、主人公狙われ過ぎとか、いろいろ言いたいことはあるんだけど、心理描写は上手いし、もと検事であるからして法廷シーンも迫力あるし。この二作の共通した魅力はやっぱ卓越したサスペンス性だろう。頭上はるか上を綱渡りしてるサーカス団員を見るかのごとく、一歩も動けない状態でストーリーの行方を追ってしまう。
著者はかなりC・Jに自分を投影しているらしく、そういう意味でもまったく違う作品をぜひ読んでみたい。法廷モノとか? とりあえず二作ともかなり面白かったです。