女の子ものがたり 営業ものがたり(西原理恵子/小学館)<19-20>

女の子ものがたり 営業ものがたり
まず子供の頃から上京する日までの友達との日々を描いた「女の子ものがたり」。
気の小さい主人公の「なっちゃん」、怖い母親の影響か毒舌冴え渡る「みさちゃん」、親に放っておかれていつも小汚い「きいちゃん」。小学校に入っても、ヤンキーになっても、ちょっぴり大人になっても、いけてない3人娘のものがたり。自分を守るためなら友達でも無視する子供ならではの残酷さを発揮する小学生時代、勝手に憧れて勝手に傷ついたりする微妙な思春期、田舎のヤンキーならではの早さで十代のうちに迎える人生の転換期…お互いの嫌なとこはいっぱい知ってる、でもずっと一緒だったともだち。お互いの小学校時代や中学校時代を知ってる友達って、ちょっと特別だ。相手の格好わるいところをたくさん見てる。自分の格好わるいところもたくさん見られてる。共犯のようなかんじかもしれない。単純に「好き」とは言えない関係。短い中で長いスパンを描いたのは、こういう意味があったのだと読み終わって気付いた。ラストあたりは胸が苦しくて、泣きたくなった。


で続いて最新刊「営業ものがたり」。タイトルどおりの、著者の営業マンガはくすくす笑えて楽しめる。そして一転、浦沢直樹の「PLUTO」によせた短編マンガ「うつくしいのはら」に度肝を抜かれた。すばらしい!! 戦争のもたらす絶望を、こんなに短いページで、こんなにも優しく描けるなんて!鳥肌がたちました。「PLUTO」はもちろん読んでるけどまだ途中だし(というかこのペースだと完結まで10年くらいかかりそうだが)「戦争」というテーマ以外はまったくつながりはないので比べるとかじゃないんだけど、受けるインパクトは同じくらいか、「うつくしいのはら」は完結してるのでそれ以上かも。とにかく驚きました。しかしその後の対談がこれまたビックリ。浦沢直樹ってこんな人なのだろうか……。


しかしサイバラワールドにハマってしまいました。「ぼくんち」も買うねたぶん。もしくは明日にでも。