暗く聖なる夜(上) (講談社文庫) 暗く聖なる夜(下) (講談社文庫)(マイクル・コナリー/講談社)<6-7>

暗く聖なる夜(上) (講談社文庫) 暗く聖なる夜(下) (講談社文庫)
ハリー・ボッシュシリーズ最新刊。これがまたいきなり文庫からの刊行。前作まで単行本だったのにねぇ。いいんだけどさ、こないだ読んだディーヴァーの『獣たちの庭園』より枚数少ないのに、上下二冊に分けてあるのは一体どういうわけだ講談社。あわせて1600円だよ?単行本の値段じゃん。なんか損した気分。二冊に分けたいなら分けてもいいんだけど(読む方としては読みやすいし)、けどこのくらいの枚数の文庫本で1500円超えるのはやめてほしい。単行本と文庫本は違うものなんだから。


ま、それはさておき中身ですが。まだまだいけてます、ボッシュシリーズ。前作『シティ・オブ・ボーンズ』は衝撃の現役引退で幕を下ろしたが、やっぱボッシュはのんびり引退生活送るような人ではなく…自分が刑事時代にかかわって未解決のままお蔵入りとなった事件を再び洗いはじめる。ある女性が被害者となった殺人事件、そしてそれに何か関係があると思われる現金強奪事件。その二つの事件の手がかりを伝っていくうちに、FBI女性捜査官の謎の失踪事件にぶつかる。ところがそこでボッシュには警察、そしてFBIから圧力をかけられー。バッジも拳銃もないボッシュは真実にたどり着けるのか。
相変わらず読ませますねぇ。面白いのはラストのどんでん返しだけじゃない。真実に行き着くまではなんとしても冷静に立ち回るボッシュが格好いいのだ。一方では別れた妻・エレノアへの複雑な再会や、シュガー・レイからアルト・サックスを教えてもらうシーン、ケーキ屋を見て子供の頃の思い出がよぎるシーンなど、今回もボッシュの人間味がストーリーのはしばしからにじみ出てくる。そして今回はラストのラストにボッシュの私生活においても大きなどんでん返しが…。幸せを予感させるラストだった。
これからもこのシリーズは続くよう。来年前半には出るらしい。楽しみだな。