凶笑面 蓮丈那智フィールドファイル? (新潮文庫)(北森鴻/新潮文庫)

凶笑面 蓮丈那智フィールドファイル? (新潮文庫)
前々から読みたいと思ってた蓮丈那智シリーズ。今月の新潮文庫でフィールドファイル2が出てたので合わせて買ってきた。
中性的な美貌の持ち主でありながら、冷たい雰囲気と突拍子もない発想力のせいか学会では<異端>と見なされる民俗学者・蓮丈那智。彼女がフィールドワークで赴く様々な土地で不思議な事件とぶつかって…。那智に振り回されっぱなしな助手・ミクニの視点から描かれる民族学的連作ミステリ。
五編どれも面白かったのだが、「双死神」が印象的。というのもわたしの大好きな<冬狐堂>シリーズの「狐闇」と深く関わっているからである。<冬狐堂>こと宇佐見陶子がプライドをかけて挑んだ大事件に、まったく別サイドから那智ミクニが関わり交差する。うまいこと物語の表裏となっているなぁと感心。もちろんこちら側からは陶子のストーリーの全貌は明かされないのだが。ついでに香菜里屋も登場してファンサービスたっぷりな一遍。
民族学的な謎と、現実に起こってしまった事件の謎。絡み合う二つの謎を探偵よろしく解決に導く那智が格好いい。この人の作品って本当に格好いい女の人が多いなぁ。はやく次も読みたい。