脂肪と言う名の服を着て 完全版(安野モヨコ/祥伝社)

脂肪と言う名の服を着て 完全版
働きマン』以降、最近の作品はもちろん昔引っ越しのときに売っちゃった『ハッピーマニア』まで再び文庫版で買い求めるほどに個人的安野モヨコブーム。で、買っちゃったこの本。
ストレスからつい過食気味になって太っていくOL・ノコ。同僚で美人のマユミがノコの彼氏・斉藤と密会していることを知り…。

カワイイというだけで
キレイというだけで
やせているというだけで
マユミはすでに私よりも
上の人間なのだ

ハッピーマニア』とかののりで読んじゃうとぐぐっと暗くなっちゃう作品。いや、上手いんだけどね。読んでて痛いの。わかるだけに痛い。「美のヒエラルキー」は女なら誰でも知ってるはず。もっと痩せたい、もっときれいになりたい、そんな欲望から逃れたいけど、あきらめたくない。安野モヨコはそんな女心を赤裸々に描きつつ、「じゃぁ痩せたらきれいになったらあんたは幸せになれるの?」と問いかけてくる。でも「女は見た目より心」なんてきれいごとも言わない。やっぱきれいな女は得するし幸せかもしれない、でもあんたが不幸な理由はデブなだけじゃない。「もっともっとキレイになればもっともっと幸せになれる」…女の欲望をどこまでも正直に描いた名作かもしれない。