岸和田少年愚連隊 完結篇 (講談社文庫)(中場利一/講談社文庫)

岸和田少年愚連隊 完結篇 (講談社文庫)
文庫になって追いかけ始めた「岸和田」シリーズ、一応完結編。

二十歳になる、ほんの少し前ー。岸和田の少年たちの姿を綴った自伝的人気シリーズの完結編。チュンバは周囲の"ごんた"たちが前向きに後ろ向きにと変わっていくなか、ひとり変わらずに、変われずに、もどかしい日々を過ごす。ケンカをするのに理由が必要になったとき、少年時代は終わろうとしているのか。

まわりの人間がいつしか大人になっていくなか、その流れについていけずにいらいらするチュンバのいらだちがよくわかる。就職活動してた自分を思い出す(一度説明会に行っただけで辞めたけど)。急速にまわりが変わっていく時代ってあるんだよね。

毎日、イライラしていた。
何に対して腹を立てているのかはわからなかった。変わってしまたリョーコに。定に。ひょっとしたら自分自身に。(中略)
何をすればいいのかわからなかった。小さな夢さえ持ち合わせてもいなかった。私はただ、さまよい歩いてた。

笑わせてくれる語り口はそのままに、誰のなかにもある<あの頃>の切なさを思い出させてくれる作品。やっぱ良かったです。カオルちゃんの登場が少なかったのが個人的には寂しいが…。