ささらさや (幻冬舎文庫)(加納朋子/幻冬舎文庫)

ささらさや (幻冬舎文庫)

事故で夫を失ったサヤは赤ん坊のユウ坊と佐佐良の街へ移住する。そこでは不思議な事件が次々に起こる。けれど、その度に亡き夫が他人の姿を借りて助けに来るのだ。そんなサヤに、義姉がユウ坊を養子にしたいと圧力をかけてくる。そしてユウ坊が誘拐された! ゴーストの夫とサヤが永遠の別れを迎えるまでの愛しく切ない日々。連作ミステリ小説。

正直に書くと、最初のあたりはかなりイライラしながら読んでた。主人公・サヤの性格についてだ。腹が立つほどうじうじ、おどおどしていて、「あんた仮にも一児の母だろうが!しっかりしろよ!」と背中を思いっきりぶちたくなったほどだ。
でも三人の婆さんたちがサヤの家へ出入りするあたりになって、ちょっと見方が変わったきた。弱くて臆病なこの主人公は、どんな人をも許す強さを持っている。だから仲間が自然と増えていく。そして少しずつ強くなっていく彼女を、読み進めていくにつれて好きになれた。
ストーリーも後半になるにつれて面白くなってきた気がする。とくにサヤが母として真剣に闘った表題作が良かった。最新作もこれの姉妹編ならぜひ読んでみたいな。
どうでもいいが、ゴースト夫が「馬鹿っサヤ」と呼びかけるのは読んでいてなんか恥ずかしいなぁ。