働きマン(1) (モーニング KC)(安野モヨコ/講談社)

働きマン(1) (モーニング KC)
この人の本買うのは『ハッピーマニア』以来だな。『ハッピーマニア』では恋愛にすべてのパワーを使い果たすダメ女・シゲカヨが主人公だったが、こちらは仕事にすべてをかける女が主人公。納豆巻きを愛する松方弘子はスクープ系週刊誌の編集者。ハードスケジュールで恋人とはセックスレス、プライドばかり高い後輩にイライラし、踏み込んだ政治ネタを扱ったせいで嫌がらせも受け…。それでも自分の信じる考え方で仕事にぶつかっていく松方は格好いい!
脇役もいいんだよね。おっとりしてるのに鋭いところ突いてくる編集長やデスク、昼も夜もなく働く松方たちを尻目に「夜は仕事しない主義なんで」…と乾いたテンションの後輩・田中、女であることを武器とする記者・由美、自分の趣味が第一だがいざというときは頼りになるこぶたん…。みんな個性強くていいんだよね〜。
でも働く人間だったら誰でも共感できる部分がしっかり描かれてる。どこまで仕事を優先させるか、どこまでプライベートを優先させるか。生活のためだけならもっと楽な仕事はあるはず…だったら何のためにこの仕事をしてるのか―。人それぞれに事情は千差万別だろうけど、やっぱ仕事からしか得られない「面白さ」っていうのをすごく上手く描いてると思う。
すべてのエピソードが面白いんだけど、一番好きなのは「vol.6 振り向きマン」。まだまだ仕事はできないが松方になついてる後輩・渚マユが大好きな作家の連載を取ってくるが、担当は松方に任されてしまう―。納得できないマユは編集長に直談判するが、「作家の担当なんて十年早い」と一蹴される。一方の松方は、女向けの恋愛小説ばかり書いて一定の固定ファンを持っているその作家について、仕事合間のリフレクソロジーを受けながらこう考える―。

女の客と女の施術者……。店も客も女ばっかでリラックスするけど……
小説はそれじゃダメでしょ

そしてそんな考えの松方に真っ向から「先生の良さがわかってない」と反対するマユに答える松方。

ファンすぎてその人の世界を守ろうとするのもいいけどさ
ときには壊していくのも編集者の仕事じゃないの?

格好良すぎ!これもタイミング間違えれば雰囲気悪くなるだけだからねー。もうすっかり感情移入しちゃいました。週刊誌の仕事は大変だろうなー。久しぶりにハマれる漫画に出会った感じ。これからも応援します!