昏(くら)い部屋 (創元推理文庫)(ミネット・ウォルターズ/創元推理文庫)

昏(くら)い部屋 (創元推理文庫)
翻訳ミステリ読むのは久しぶりかも…。この人の作品を読むのははじめて。解説によると<英国ミステリ界の新女王>らしい。
主人公の女性・ジンクスは激しい事故の後遺症で数日間の記憶を失ったまま、病院のベッドで目を覚ます。恋人の裏切りを知ったことによる自殺未遂であると、警察は断定した。しかし時を同じくして、ジンクスの婚約者と親友が殺害されていることが明らかに…。
失われた記憶をめぐるサスペンス。ありきたりな展開のような気もするが、ずいぶん読み応えがあった。ジンクスの昔の夫に関する事件の謎や、背後にあらわれる様々な家族のかたちが物語を色濃くしている。なにより主人公であるジンクスという女性自体が、聡明であるが故に最後までなぞの存在であることが、気味が悪くてサスペンスとしてはそそられる。だけどそのぶんラストがちょっと物足りなく感じられた。もう一転くらいして驚かせてくれるかと思ってたのだけど…。狙ったつくりなんだろうけどね。ま、なんにせよ久々の翻訳ミステリとしては十分に楽しめてよかったよかった。