天帝妖狐 (集英社文庫)(乙一/集英社文庫)

天帝妖狐 (集英社文庫)
トイレの落書きに端を発した事件の顛末を描いた短編「A MASKED BALL」を含む二編を収めた短編集。
「A MASKED BALL」は何より設定が上手い。あまり誰も使わないトイレという閉鎖的な場所で行われる閉鎖的なコミュニケーション「落書き」。校内で起こる事件の犯人が落書きの常連の中にいるようなのだが―。かなり上等なサスペンス。最後まで謎を残すところがいい。
表題作の「天帝妖狐」―こちらもかなり面白かった。日本的な「土着」の雰囲気を感じさせる寓話。子供たちが好んで口伝していくような設定を生かしつつ、小説でしかできないことをやってくれてるなぁ、というかんじ。最後はちょっと感動しちゃったし。
セイイチさん、次のオススメ教えてもらってもいいですか??