Book(6-7)

恋の休日 (講談社文庫)
恋の休日 (講談社文庫)(藤野千代/講談社文庫)
ああ、これは良かったなぁ。これまで読んだ藤野作品の中では一番好きかも。表題作含め2作が収録されてるのだけど、とくに夫が出ていった後の生活を描いた「秘密の熱帯魚」が印象深い。時折挟まれる、前夫が夫であったときに交わした会話が、強烈に切なくて、胸が痛くなった。どうでもいい、くだらないやりとりこそ、無くした後に胸を締め付けるのはどうしてかなぁ。別れの痛みを、ここまで昇華して表現できるってことがすごいと思った。今さらだけど、この人すごく上手いんだな。角田光代による解説も良かった。


下妻物語―ヤンキーちゃんとロリータちゃん (小学館文庫)
下妻物語―ヤンキーちゃんとロリータちゃん (小学館文庫)嶽本野ばら小学館文庫)
この人の本読むのは初めて。借りモノ。
まだ見てないけど映画CMの強烈なシーンが頭に焼き付いてて、面白そうだけど小説としてはどうなんだろうと思ってたけど、これが十分に楽しませてもらいました。簡単にまとめるとロリータ命な女の子とヤンキー一筋な女の子の不思議な友情物語。確信犯的にべたべたなストーリーなんだけど、設定の奇抜さと勢いで一気に読ませる。自分の主義を譲らない強さを持ってまわりをクールに見ているロリータちゃん・桃子が、優しいけどちょっと馬鹿なヤンキーちゃん・イチゴの言動や、どうしようもない父親、尼ヶ崎や下妻という土地柄にまで内心でばんばんツっこんでいく文章がかなりおもしろい。他の作品も読んでみようかなぁ。