Book(30-31)

夏の約束 (講談社文庫)
夏の約束 (講談社文庫)(藤野千代/講談社文庫)
やっと見付けた藤野千代作品。読むのは二冊目。
マルオとヒカルのゲイカップル、売れない小説家・菊江、男から女になったトランスセクシャルの美容師・たま代、頭のねじが一本抜けてそうなOL・のぞみ…彼らの生活や会話をたんたんと、やわらかい視点から描いた作品。起伏のあるストーリーではないが印象に残る。たま代が語る子供の頃の兄との思い出話は心が痛くなった。この人の作品は興味深いなぁ。また違うのも読んでみたい。


カレーライフ (集英社文庫)
カレーライフ (集英社文庫)竹内真集英社文庫
毎年夏になると洋食屋である祖父がふるまってくれた特別なカレーライス。そしてその祖父が死んだ夜、4人のいとこたちと「大人になったらみんなでカレー屋をやろう」と誓った約束。すべては昔のことだった―ハズなのに、ケンイチの父親の勘違いから何故か本気でカレー屋を始めることに…。手始めにケンイチは今では会うこともなくなったいとこたちを探し始める。なぜかそれは富士五湖からアメリカ・バーモント、インド、沖縄へと続く長い旅の始まりだった。
いやー面白かった。それぞれ違う道で生きながらも祖父の死とカレーライスに対して特別な思いを抱く5人の心中がしっかりと描かれている。キャラクターづくりもいい。ちと長いが一気に読めた。ていうかオープンの日まで書いて欲しかったくらい。装丁もGood!今後の作品にも期待。
全然関係ないけど、アメリカ・バーモント州がリンゴと蜂蜜の名産地だから「バーモント・カレー」という名前だったとは知らなかったな…。