Book(14-15)

おいしい水 (光文社文庫)
おいしい水 (光文社文庫)盛田隆二光文社文庫
30歳・専業主婦・一人子持ちの弥生を主人公として、危機を迎える夫婦関係、仲が良いんだか悪いんだかわからないご近所付き合い、新たに始めたタウン紙の編集の仕事…などが丹念に描かれる。
なによりこれを読みながら感じたのは…ショック!!これ、男性作家が書いたの!?や、盛田隆二が上手いのはよくわかってる。でも女性を主人公とした恋愛の絡む作品で、女性読者を満足させるものを書ける男性作家っていう存在がびっくりなのです。
男性作家が描く恋愛モノってなんか現実味がないっていうか、理想化し過ぎっていうか、ジャンプやマガジンなんかの漫画雑誌に必ず一つはある恋愛漫画みたいに都合良すぎなものが多くて辟易するし、逆に男の人から見ればありきたりな少女漫画が理解できなかったり女性作家の恋愛小説はなじめないモノだろうけど。
いや〜ビックリの感情が先に来てしまったけど、これおもしろいわ!つい引き込まれてしまうストーリー展開も上手いし、キャラクター設定もリアルで。これまで読んだ彼の作品の中では一番面白かった!


female(フィーメイル) (新潮文庫)
female(フィーメイル) (新潮文庫)新潮文庫
さっそく買ってしまいました。アンソロジーもたまには読むべきですね。作家は小池真理子唯川恵室井佑月姫野カオルコ乃南アサ…このラインナップなら半分以上間違いはないし。
小池真理子「玉虫」―最近この人の新作からは遠ざかってたのだけど、今回これを読んで、やっぱりこの人の文章は好きだと思った。基本的にわたしは恋愛小説がすごく好きなんだけど、でもこの人の作品に関しては恋愛小説にどっぷり浸からず、エッセンスとして恋愛が入ってるようなモノが好きなんだよなぁ。でもさすがに短編の名手。この作品はすごく上手いです。
唯川恵「夜の舌先」・室井佑月「太陽のみえる場所まで」―感想なし。
姫野カオルコ「桃」―この本を買う動機となったのはこの作品。「ツ、イ、ラ、ク」の関連性があるということで期待してたが、それより何より、タイトルどおり「桃」(←果物の桃)の描写がひたすらエロティックなほどに上手い。もちろんそこから連想できる二人の関係は桃より甘い…。ひとつひとつの言葉がきちんと選ばれてるということが読者に伝わってくるような、丁寧で苦しいラブストーリー。
乃南アサ「僕が受験に成功したわけ」―エロティック・エンターテイメントとまとめられたこのアンソロジーに並ぶ作家の中では乃南アサは仲間はずれのように感じる。でも意外に凄く上手くて、わたしが読んでないだけで短編はたくさん書いてるから当然かも知れないけど、完成度としてはこの5作品の中でもナンバーワンかも知れない。