Book(8-9)

ピピネラ (講談社文庫)
ピピネラ (講談社文庫)松尾由美講談社文庫)
この人の本を読むのは久しぶり。ビーグル犬の表紙が可愛い『スパイク』以来2冊目。
『スパイク』もそうだったけど、この人の作品は説明しづらい。というかネタバレになっちゃうので、先入観なしで読むのがいいだろう。しかし面白かった!ミステリとファンタジーが混じり合ったかんじで、専業主婦である主人公の「心の自立」が描かれる。他の作品も読んでみたいな。



涙
乃南アサ幻冬舎
古本屋で購入。400円。
嫁いだ娘が離婚した。夫が女をつくって出ていってしまったのだ。親の前では振り切ったような笑顔をみせる娘の心の傷をおもんばかりながら母・萄子は、心の中で思う。「お母さんにだって若い頃があったのよ。今のあなた以上に、周りにも迷惑をかけたし、ずっと長い間、苦しんだことがあるの―」
萄子が経験した、あまりにも激しい恋。それが物語の核である。
東京オリンピックに日本中が沸き立ってたころ―いわゆる山の手のお嬢様であった萄子は平刑事・勝と恋に落ち、反対する両親を説き伏せ、結婚することとなった。ところが結婚式を一ヶ月前にひかえたある日、勝から電話で「俺のことは、忘れて、いい」と告げられる。なぜ急に…取り乱す萄子の前に数日後、勝が殺人事件の参考人に、そして消息不明になったことが知らされる。しかも殺された若い女性というのは勝の先輩でコンビを組んでいた刑事の一人娘だった。その現場に勝の定期が落ちていたのだ。そんなことをする人ではないと固く信じる萄子は、一人で勝を探し始める。
川崎、熱海、焼津、福岡―その痕跡を残しながらも一歩手前でするりと姿を消してしまう勝を、萄子は懸命に追い続ける。事件から一年、大阪で情報を得た萄子は当時米国領であった沖縄・宮古島へ―。
勝と自分の人生を一気に狂わせたものは何だったのか。かたくなまでに勝の無罪と生存を信じる萄子の必死さが痛々しい。事件が徐々に解き明かされる後半も読み応えがある。
今さらだけど、やっぱこの人上手いよな〜。