Book(26-30)

黄泉がえり (新潮文庫)
黄泉がえり (新潮文庫)(梶井真治/新潮文庫
昨日ブックオフで買ったもの。
間違いなく死んだ人間が黄泉がえった―死んだ時期にかかわらず大量の死人が、なぜか熊本だけで。「ありえないこと」であるにもかかわらず、目の前に現れた懐かしい家族の姿に動揺しつつも喜びを隠しきれない人々。「死亡届」撤回を求める多くの人の前に混乱する役所。ある人気歌手の<黄泉がえり>から端を発したマスコミの狂乱。なぜ彼らは黄泉がえったのか―?不思議な謎に迫るファンタジーSF。
ところどころ陳腐なエピソードに目をつぶれば、展開としてはかなり面白かったです。でももうちょっとシビアさやリアルさがあれば良かったかなーと。しかしこれは映画を見てないけどさすがにあんだけ宣伝してたせいでラストシーンは柴崎コウの歌が頭の中でぐるぐる…。今度はまた短編を読んでみようかな。



NO.6〔ナンバーシックス〕#2 (YA! ENTERTAINMENT) No.6〔ナンバーシックス〕 #3 (YA!ENTERTAINMENT)
NO.6〔ナンバーシックス〕#2 (YA! ENTERTAINMENT)No.6〔ナンバーシックス〕 #3 (YA!ENTERTAINMENT)あさのあつこ講談社
はやい?我慢できなかったわ〜。今日は子供向け図書が充実してる本屋さんだったのであさのあつこの棚からがぼっと抜いてきましたよ。しかしその小学生向けの棚にはあさのあつこはもちろん、森絵都の『カラフル』や『DIVE!!』(←どっちも最高!!)とかもすぐそばに並んでて、このあたりには実はおいしい本がいっぱい潜んでるのでは…と、子供に混じって長居してしまいました。
で、昨日の勢いに乗って一気読み。やっぱり面白い。だけどまだまだラストには到達できそうにないな。西ブロックの過酷な現実に直面しながらも、相変わらず紫苑くんはまぶしいくらいにまっすぐ。それでこそネズミたちもついつい彼をかまってしまうのだけど。今後も楽しみ。…しかしこれこのペースで進むと何巻になることか。



バッテリー〈4〉 (教育画劇の創作文学) バッテリー〈5〉 (教育画劇の創作文学)
バッテリー〈4〉 (教育画劇の創作文学)バッテリー〈5〉 (教育画劇の創作文学)あさのあつこ教育画劇
こっちも買っちゃったなあ。とてもじゃないが文庫は待てない。でも良かったな。ちょうど3巻から5巻までが大きな一つの流れになってるし。
『No.6』がページをめくるのがもどかしいほどなら、『バッテリー』はところどころその手を止めて「ふうっ」とため息をつきながらしみじみと読んでしまう感じ。
自分の才能に自信を持ち他人に無関心なピッチャー・巧と、彼を支えるはずが自信を失うキャッチャー・豪。二人のぎくしゃくとしてしまった関係を軸に、巧と豪のバッテリーを見守るナインたち、巧の球を打つことに固執する名門中学のバッター・門脇とその親友・瑞垣の関係を描いたのが3巻終わりから5巻だろうか。
好きで始めた野球に苦しめられる悔しさ。プレイ以外をすべて切り捨てることが出来るのなら楽なのに、そうもいかないもどかしさ。豪に向かって「たかだか野球のことぐらいで、そこまで苦しむな。そんな歳じゃない。そう言うのが、教師の役目なんだろうがな……」とあきらめまじりにつぶやく顧問のオトムライの気持ちはよくわかる。<たかだか>部活にそこまでムキになったり苦しんだりできるのも<そんな歳>だけだからなあ。楽な選択肢を知っていながら、どうしてもそうできない二人の少年の、行き違う姿が切ない。
<重いなと感じる。こうして、他人といることが、なにげない会話をすることが、心を配ってもらうことが重い。ここにこうして座ってるより、一人、走っている時間のほうが性にあってるとも思う。それでも座っているのは、一人で走っていてはわからないことを知りたかったからだ>…5巻の終わり頃、こう心の中でつぶやく巧の成長がたまらなく嬉しい。まだ中学生なのに重くなりがちなこの野球少年たちの物語の中で、清涼剤の役目を果たしている青波は今回も大活躍。かわいすぎ。
あらためてこの物語について考えると、やっぱりひとつひとつのエピソードがそれぞれいいこと、それを積み上げていっているからこそ、いきなりドバーっと泣いちゃうようなほどの感動シーンはなくても、ところどころで涙ぐんでしまうような胸に浸みるシーンがあって、それぞれのキャラクターが深い印象を残して愛されてる。これで5巻目なのに、まだまだこのキャラクターたちの成長をもっともっと見たい…そう思わされちゃうんだよね。ふ〜。
しっかし年末にいい本読んだなー。来年1月に発売される6巻も楽しみだわ。ていうか個人的な希望としては『ドカベン』くらい続いて欲しいくらいあるけど…。ま、それは無理としても巧と豪の高校生時代とかいつか書いて欲しいなあ。