Book(23-24)

バッテリー 3 (角川文庫)
バッテリー 3 (角川文庫)あさのあつこ/角川文庫)
待ちに待った『バッテリー』文庫での最新刊。しかし読み終わるとモヤモヤ感が…続きが読みたい!読みたいよ〜!こんないいところで終わらないでよ…気になるよう。もうあきらめてハードカバー買っちゃうか。でも3巻まで文庫でそのあと単行本っていうのもなんか気持ち悪いし…でも次が出るのなんてかなり先だろうし…でも文庫版だと今回みたいに書き下ろしのサイドストーリーが入ってるかもしれないからそれも読みたいし…。う〜ん。
とてつもない速球を投げる才能を持った中学一年生の巧と、その球を受けるキャッチャーの豪。二人を中心に展開する青春・スポ根・児童文学?なんかすごーくそれぞれの内面が丁寧に描かれていて、すっごくいいシリーズ。しかし話が進むのが遅いんだよね。1巻目は巧と豪が出会う中学入学直前だったけど、3巻目でもそれからまだ半年くらいしか経ってないんじゃないか。スラムダンク状態。別にそれが悪いってことじゃなくて、それだけ内容が濃いということ。それにしても今回は本編もさることながら、文庫本書き下ろし短編『樹下の少年』がすごーく良かった。巧の弟である病弱な少年・青波の視点から描かれたものなんだけど、感動しちゃいます。しっかしずるいよねー、ハードカバー買っちゃった人にも買わせようという魂胆ミエミエ。そこまでしても単行本が売れると確信できる作家の技量ありきな角川商法。これからも書き下ろし短編が付くんであれば文庫本でそろえたい気がするけど、我慢できそうにないな…。しかし今<WEB本の雑誌>にある「バッテリー応援団」というコンテンツであさのあつこのインタビューを見てると、これからも書ききれなかったサイドストーリーを文庫本に入れていきたいとのこと!え〜、サイドストーリーだけを集めた別冊で出してくれても買うよ?でも最終章が出るみたいだし、やっぱり買っちゃうかなあ。続きが気になって、明日にでも買いに行く可能性あり。

しゃぼん玉
しゃぼん玉乃南アサ朝日新聞社
この人の作品読むの久しぶり。ていうか『風紋』を読んだだけかな?『風紋』はかなり面白かったんだけど、そのあと追いかけるのを忘れてた。でも久々に読んで驚く。やっぱ上手いわこの人。
ひったくりや強盗を繰り返してその日暮らしをしている23歳の翔人。逃げるようにヒッチハイクで都会から離れるが、宮崎の山の中で置き去りにされてしまう。そこで偶然知り合ったお婆さんの家に成り行きで泊めてもらうことに。毎晩、明日には金目のものを取って出ていこうと決意するのだが意外に居心地の良い場所につい流され、ついでに近くに住む爺さんに頼まれて山仕事など手伝ううちにさらに出て行きづらくなり…。
ひとりの荒んだ青年の再生の物語。やっぱ上手い、この人。ラストはけっこう感動してしまった。欲を言えばエピローグがもっと長くても良いかなという感じ。もうちょっと削ってもいいんじゃないかと思える作品が多い中で、読み足りないと思える作品に出会えるのも希有なことですが。ま、ちょっと言わせてもらうと、宮崎弁ってこんなもんじゃないけどね。宮崎は結構きついから。しかも宮崎の中でもかなりの田舎という設定では、たぶん埼玉出身の若者が理解できるかどうか疑問なほど…。ま、わかりやすくしてくれてるんでしょう。わたしとしては馴染みのある言葉遣いで楽しめましたが。なんにせよ、来年はこの人の作品を全部読みたいな。