Book(20-22)

未来(あした)のおもいで (光文社文庫)
未来(あした)のおもいで (光文社文庫)梶尾真治光文社文庫
登山中に出会った沙穂流という美しい女性のことが頭から離れない浩一。彼女が忘れていったノートを届ける口実で会いに行くが、そこで彼女と自分が異なる時代を生きているという衝撃の事実を知る。時空を越えたラブストーリー。
う〜ん、途中まではすごくおもしろかったんだけど、「奇跡」に頼るラストはあまり好みではない。「奇跡」を使っちゃったら何でもありになっちゃうじゃん、ってひねくれ者は思うのです。ま、SFだから何でもありなんだけどさ。

一九七二年のレイニー・ラウ
一九七二年のレイニー・ラウ打海文三光文社文庫
妙齢の男女によるラブストーリー8編。
これはすごーく良かった。やっぱ上手いわ、この人。今年読んだ恋愛小説の中ではかなり上位に入るな。あきらめを伴った切ない恋が心に響く。恋愛小説に飢えていた最近の私にはぴったりでした。

明日の記憶
明日の記憶荻原浩/光文社)
若年性アルツハイマー。徐々に記憶を失い死に至る非情なこの病気を告知された中年サラリーマン佐伯。来年に迫る娘の結婚式までは仕事をしていたいと、すべての情報を書き留めたメモでポケットをぱんぱんにしながら働く姿が哀しい。奥さんも必死だ。食卓には毎日魚を並べ、彼との会話にも細心の注意を払う。辛い病気だと思う。生きているだけで幸せなのかもしれないけど、やっぱり人間は記憶でできていると言っても過言ではない。もし自分や自分の大事な人がこの病気にかかったら…と思うと恐ろしくてしょうがない。テーマがテーマなだけにいろんなことを考えさせられるが、小説としてもとてもいい出来。胸に浸みました。