Book(17-18)

塩の街―wish on my precious (電撃文庫)
塩の街―wish on my precious (電撃文庫)有川浩電撃文庫
面白い本に出会うと腰の軽くなるわたし。『空の中』が存分に楽しめたから、彼女のデビュー作を早速買ってきてしまいました。電撃文庫…存在すら知らなかったし。
塩が世界を埋め尽くす塩害の時代。塩は着々と街を飲み込み、社会を崩壊させようとしていた。/その崩壊寸前の東京で暮らす男と少女。男の名は秋庭、少女の名は真奈。静かに暮らす二人の前を、さまざまな人々が行き過ぎる。あるときは穏やかに、あるときは烈しく、あるときは浅ましく。それを見送りながら、二人の中で何かが変わり始めていた。/そして―「世界とか、救ってみたいと思わない?」。そそのかすように囁く男が、二人に運命を連れてくる。(あらすじより)
う〜ん、キャラの作り方とかラストの持って行き方とかがすごくライトノベルってかんじ。いやライトノベルなんだからいいんだけどさ。でも原因不明の「塩」によって崩壊する社会という設定がまず面白いし、語り口が上手いので物語にずんずん引き込まれてしまう。やっぱりこの人上手い。しかしライトノベルってなんでゲームオタクが好きそうな挿絵があるのかしらねー?

愛と悔恨のカーニバル
愛と悔恨のカーニバル打海文三徳間書店
この人の作品を読むのははじめて。『日本一怖いブック・オブ・ザ・イヤー』で北上次郎がこの人の本を取り上げてたから読みたくなったのだが、その本は上下巻だったので昔の作品を、と適当に選んで買ったもの。しかし読みながら途中で気付いたのだがこれはシリーズモノらしい。そういうことは帯とかに書いておいて欲しいなあ。まあ、別に物語としては独立してるからいいんだけどさ。
19歳になった姫子(それまでの物語もあるらしい)は幼なじみの男の子・翼と再会し、付き合うようになる。やがて翼が引き込まれるトラブルとそれに端を発した翼の狂気、そして壮絶な禁断の恋の結末を知らずに―。
最初はなんだかぎこちない会話文(この人の作風なのだろう)にちょこちょこ引っかかり「失敗したかも…」と思ったりしたのだが、物語が進むにつれて加速度的に引き込まれてしまった。暴走する狂気と禁断の秘密に彩られた派手なストーリー展開もさることながら、シリーズモノらしく脇役たちのキャラクター造形が上手くて感心。他の作品も読んでみたいな。