Book(14-15)

航路(上) 航路(下)
航路(上) 航路(下)コニー・ウィリス/訳・大森望ソニー・マガジンズ
ふ〜やっぱり買ってしまった。読みたい読みたいと思っていたものの、いつも使う本屋では在庫切れで、何より今月か来月に文庫化されるっていうんだから我慢しよう…って思ってたのに。昨日いつもの本屋に行ったらハードカバーがあるじゃないの!前の日までなかったのに。う〜買うべきか買わざるべきか!?本屋三週まわって、結局買った。間違いなく面白いもの、傑作はやっぱハードカバーよね…と心の中で言い訳しつつ…。本をばかばか買うのは少し控えようとおもったばかりなのにな〜。
とまぁ、そんな後悔はページを開いてからすぐに消えちゃった。やっぱこの人おもしろいよ〜。っていうかこの作品、二段組み上下巻で800ページ強…面白くなかったら読めないし!一応上巻は昨日読んだんだけど、もし今日仕事がなかったら確実に一気読みしてたこと間違いなし!
本書は臨死状態をテーマにした医学サスペンスで、SFなんだけどSF要素は他の作品に比べると薄い。いやいわゆる<死後の世界>が調査対象だからSFなのはもちろんSFなんだけど、ちょこちょこコントっぽい笑いもあるし、うっかり泣けちゃう感動もあるし…。なんかとにかく盛りだくさん!ってかんじなのです。『ドゥームズディ・ブック』では泣かせるし、『犬は勘定に入れません』では笑わせるし、つまりコメディでも感動モノでもいける技術が詰め合わされた作品と言えるかもしれない。
ちなみに本書の主人公であるジョアンナの臨死体験は舞台が必ずタイタニック号。おかげさまでジョアンナの臨死体験のシーンでは映画『タイタニック』がついつい頭に浮かんで来ちゃいましたよ。登場人物たちと同じく私もアンチ『タイタニック』(映画)なのに!まー逆にいえば上手い使い方だな、とは思ったけど(あの映画見てない人のほうが少なそうだから、多くの人が想像しやすい)。それにしてもウィリスはかなりの映画マニアなのだろうか。『リメイク』でも古い映画たくさん出てきたし、この作品でもいろんな映画出てくるし(『プリティ・ブライド』とか?)…。
とにもかくにも「面白いよ!」というしかない作品。もう、次の作品が待ち遠しい。ついでに翻訳もすごーくいい。物語がおもしろくても翻訳が下手だととたんにいらいらしてくるからね。『犬〜』では「プチ悲鳴」、『航路』は「トンデモ」…けっこう好き、今後もウィリスの作品は大森さんにやってほしいなぁ。